2024年秋華賞予想

目次

結論

◎ チェルヴィニア
〇 ステレンボッシュ
▲ タガノエルピーダ
△ クイーンズウォーク
△ ランスオブクイーン
△ セキトバイースト
△ ボンドガール
△ チルカーノ

予想ポイント

①秋華賞のラップ傾向
②各馬の能力比較

①秋華賞のラップ傾向

以下は京都芝で行われた過去5年、2017年から2020年, 2023年のレースラップとその平均ラップを示したものです。縦軸は1Fごとのラップタイムを示していて、上に行くほど遅いタイム、下に行くほど早いタイムになっています。

画像

年によってばらつきがありますが、どの年にも共通していえるのは、ラップの急激な変化が見られないことです。これは、京都2000mというコースの特徴が大きく表れています。多方面からコメントが出ているように内回りの非常にトリッキーなコース。位置取りや道中のペースが重要になりそうです。ただし、2023年は形が違うことには注意が必要です。かなりのスローペースとなったことで後半が早くなる特殊なレースになっています。

過去4年(2017-2020年)の前後半平均は

前半5F 59.1
後半5F 60.7

であり、1.6秒の前傾ラップ(前半が早く後半が遅い)となっています。京都芝2000m内回りはトリッキーなコースで年によってラップのばらつきが大きいですが、前が早くなりやすいという傾向には注意したいところです。差し馬が上位に来る傾向があるレースですが、直線を向いたところで中段より前のポジションが必要となります。そして、3冠をかけた馬が出走し来た際はそれより後ろから漁夫の利を狙う馬が恵まれることも頭に置いておくと3連系の馬券がとりやすくなるかもしれません。

②各馬の能力比較

基本的に秋華賞の前哨戦はローズS、紫苑S、オークスの3つに絞られます。今年の出走メンバーも15頭中14頭がそのいずれかのレースに出走しています。よって、この3戦の内容を精査することで能力比較を行います。

● オークス

基本的に毎年同じ傾向がありますが、この世代で一番レベルが高かったレースはこのレースでしょう。前2頭が離してとばしたため公式のレースラップはほぼ参考外となってしまいますが、当日の馬場的に全体時計とラスト2F(11.5 – 11.4)のラップは素晴らしいものでした。やや差し有利の馬場と展開に恵まれたとはいえ、チェルヴィニアとステレンボッシュはこの世代では抜けた馬でしょう。ステレンボッシュと3着ライトバックの着差は0.3秒あるのですが、これは決定的だったと思います。過去の時計やレース内容と比較しても、個人的にはチェルヴィニアとステレンボッシュはスターズオンアースと同等に評価できるレベルだと考えています。この2頭から離されてしまいましたが、比較的前で競馬し、展開に恵まれないながら上位にきたクイーンズウォークとランスオブクイーンは高く評価できます。上位2頭を逆転するとは考えにくいですが、オークスの6着以下とは大きな能力差があると思っています。オークスの走りを参考外と考えるべきなのはタガノエルピーダです。この馬は直線で競馬を止めており、レース後コメントでも反応がなかったと言われていました。上位陣を逆転できるかというと微妙ですが、6番人気に支持されたことへの評価をするべきかなと考えています。

<評価順>
1 チェルヴィニア
2 ステレンボッシュ
—————-
3 ランスオブクイーン
4 クイーンズウォーク
参考外 タガノエルピーダ
—————-
その他の馬

● 紫苑S

このレースの勝ち時計は1:56.6。コースレコードを更新する時計であり、後半ラップも素晴らしいため一見すると超ハイレベルに思えてしまいます。しかし、この開催の中山は風の影響もあって異常な高速馬場になりやすく、実際にこの日は普段はあり得ない時計がでる特殊な馬場となっていました。それを象徴するのが10Rのランドオブラヴが記録した32.3という上り3F時計です。この数字は勝ち馬の上り3Fとしては中山芝レース過去最速の数字です。なので紫苑Sの上りの数字や全体時計は素直に評価できません。他のレースや過去の時計と比較しても例年通りかそれ以下のレベルだと個人的に考えています。実際に、オークスやフローラSで敗れた馬たちが上位に来ており、オークス上位のクイーンズウォークが出てきたローズSと比較してメンバーレベルも低かったとみています。秋華賞との相関も低いレース質だったため、この組は総じて軽視するのが妥当だと判断しました。敢えて差をつけて評価するならば、差し遅れただけのボンドガールを最上位評価とします。おそらくこの馬の好走ゾーンは1400-1800mであり、後ろが届く展開で頭をとれるかどうかが焦点になるタイプ。新馬戦のラップや血統から高い素質を感じますが、気性面のマイナス材料を考えると人気で買うかどうかを決めるべきと考えています。

<評価順>
(1 ボンドガール)

● ローズS

今年のローズSはスローペースとなり、前有利な展開に恵まれた馬が上位に来たレースです。クイーンズウォークが着差をつけて勝利しましたが、この馬は中段から差しており、展開には恵まれていませんでした。よって、上位2頭とは差があり、着差以上に評価できる強い競馬だったと思います。ただし、時計面から考えてオークスからの大きな成長を感じる内容だったかというと微妙であり、この競馬をみてチェルヴィニアとステレンボッシュを逆転できる可能性は低いかなというのが個人的な感想です。コメントでは前哨戦仕上げと言われていますが、おそらく勝てるようには仕上げており、秋華賞への上積みは少ないのかなと思っています。3着セキトバイーストは前有利に恵まれてのものでクイーンズウォークとの力差を感じる内容でしたが、あくまで瞬発力勝負に負けたという印象。この馬は超ハイペースのチューリップ賞を前で粘っているように、かなりの勝負根性を持っています。ローズSもゴール後はタガノエルピーダと2頭で突き抜けており、秋華賞でもペースによってはクイーンズウォークを逆転する可能性もあるのではないかと考えています。また、4着タガノエルピーダも同様です。この馬は荒れた最内を回るしかなく、直線でも伸びあぐねての4着。瞬発力というよりは長く脚を使うタイプのため、ペースが流れた方がよいでしょう。他の出走馬は力負けだと普通に考えられますが、ラビットアイはレースに参加していないので完全に参考外のレースです。この馬は超ハイレベルだったつばき賞で上位に迫れており、能力を高く評価しているのですが、ローズS後に自己条件でやり直すといっておいて結局秋華賞に出てきたチグハグさは今回考慮しておくべきでしょう。

<評価順>
1 クイーンズウォーク
2 セキトバイースト
3 タガノエルピーダ
参考外 ラビットアイ
—————-
その他

以上の3レースの見解を簡単にまとめると以下の通り。

・オークス上位陣がこの世代のトップ
・オークスの内容は歴代の名牝と同等
・紫苑S組は評価できない
・ローズS組は紫苑Sより高く評価

夏を越しての成長度合いと秋華賞までの過程、調子の良し悪し、現在の馬場傾向と枠順の有利不利を考慮する必要もありますが、基本的にここまでの能力差は簡単には変わらないと考えて予想しているため、上記の見解を軸に印を打ちました。

各馬の短評(ピックアップ馬のみ)

5. チェルヴィニア

◎ 本命
アルテミスで対抗、桜花賞で対抗、オークスで本命。この馬は2歳時から高く評価してきた馬です。新馬・未勝利のラップからG1級である可能性は高いとみていましたが、オークスでそれを証明してくれた形でした。上述の通りこの世代でこの馬の能力が抜けていることは明らかでしょう。しかし、個人的にはオークス前の調教は微妙だったと考えており、その点で当時本命を打つまで少し悩んだのですが、後で出てきた記事などで情報を集めるとやはりあの時は体調面で万全でなかったようです。その中であれだけの強い競馬を見せているのであれば、レースへの過程が順調な今回はかなり堅い存在だと思います。ハービンジャー牝駒のためDanzigの影響から○×が出るタイプかもと懸念しましたが、2歳時の過程を考えれば杞憂だと思います。桜花賞の競馬から右回りが苦手なタイプかもと言われていますが、このレベルの馬の左右差はそこまで気にしなくてよいでしょう。敗因は体調面の可能性が高いことは明らかです。アルテミスSの競馬から馬群でも我慢ができるタイプのため、今回は枠的にもほぼベストの位置が取れるはず。後は大きな不利なく回ってくれば勝ち負けの可能性が高いとみての本命です。

14. ステレンボッシュ

〇 対抗
阪神JFで3番手、桜花賞で本命、オークスで対抗。この馬も2歳時から高く評価してきました。新馬の時点でチェックしていましたが、赤松賞の時計が素晴らしかったです。その後は期待通りこの世代で常に上位に来ている素晴らしい戦績。この世代はマイル戦で2歳時から素晴らしいラップ、時計が連発していたため、非常にレベルが高いと考えています。その中でマイル、2400mと全く異なる距離で素晴らしい走りを見せたステレンボッシュも今回は抜けた存在だとみています。チェルヴィニアと評価を分けたのは産駒の傾向と気性面のリスクです。レースを見る限りかなり乗り難しいタイプで、騎手側も高いレベルを求められる馬だと考えています。内枠をよく引く馬で、基本的には馬群に入れて競馬をしてきた馬のため、今回の大外枠は少し危険性があると思います。桜花賞はやや外目でしたが、上手く馬群に入れてなだめることができていました。今回外から前に壁を作れずにかかってポジションが上がってしまったときにどうなるかが不安です。それでも能力は抜けていると思うので、上位に来る確率は高いでしょう。気性面も含めて春より大きく成長しているのであれば、チェルヴィニアと2頭ともにジャパンカップで通用する未来も想像できます。

4. タガノエルピーダ

▲ 単穴
各馬の能力比較の項でも書いていますが、この世代はオークス上位組が強く、チェルヴィニアとステレンボッシュの次点はランスオブクイーンとクイーンズウォークだと考えています。その中で逆転があるとすればタガノエルピーダだと読みます。ランスオブクイーンはスタミナに寄ったタイプであり、早めに外を回してくれば上位争いする可能性は高いですが、今の京都芝は内有利。メンバー的にもそこまでペースが早くなるとは思えず、恵まれるのは内だと決めつけるならば外々を回すであろうランスオブクイーンの評価は下がります。また、クイーンズウォークは能力的に抜けた3番手なのですが、上積みの面で疑問があります。また、血統的な推測もありますがこの馬は前に行ってスタミナを問われた際に大敗するリスクもあるのかなと思っています。そこで浮上するのは前に行けて早めのペースでも粘れる馬。タガノエルピーダは忘れな草賞で世代上位のスタミナを示しており、荒れた最内を走らされた前走の競馬を見ても前で粘る根性があることを見せてくれました。元々新馬戦のラップをみて重賞は勝つだろうと評価していて、朝日杯で展開が向かない中で牡馬相手に3着に来たのは間違いなく実力です。今回への上積みも大きく、坂路での調教を見る限り短期間での成長も感じられるのもプラス。ステラリアの経験がある斉藤崇厩舎への信頼も加味してここでの激走を期待します。

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