この記事では先週行われた競馬開催の中で
管理人が激選した1レースを深堀して回顧します!
今回選定したレースは
2/10(日)に行われた
東京9R ゆりかもめ賞(芝2400m)です!
メモ
良馬場で時計は水準レベル
時期的にややタフな競馬になりやすい
直線は上りがかかる
内の状態が良いため内を通った先行馬が恵まれやすかった
前半5F 63.5(スロー)
後半5F 59.2
2月の東京開催は時期的なこともあり各馬のコンディションが重要となるレースが多いです。
このレースも例外でなく、調教から全力でここに挑んでくる馬も少なく、3歳初期の若駒にとって2400mという初めての距離を走るため前半がスローになりやすいレースです。
今年のゆりかもめ賞も例年通り前半3F 37.4、前半5F 63.5とかなりスローペースな競馬になりました。
去年暮れのホープフルSと同様にジュンアサヒソラが外枠から先手を取って逃げ。
同じく外枠だったレーゼドラマが2番手であっさりと隊列が決まります。
ウィクトルウェルスはその2頭の後ろの先団で脚をためる競馬。
やや行きたがるそぶりを見せていたファイアンクランツはさらにその後ろの馬群内で道中我慢させていました。
直線を向いて残り400mを過ぎたあたりから各馬が仕掛け始め、先頭2頭の外から追い出したウィクトルウェルスが早め先頭から1着。
その外から差してきたファイアンクランツが2着。
先団内で脚をため、内から抜け出したアマキヒが3着という結果でした。
詳細な数字はこの後の項で見ていきましょう!
レースラップ
2021年~2024年までの4年間に行われたゆりかもめ賞の平均ラップと2025年のラップ比較は以下の通りです。
今回のラップで注目すべきポイントは前半が例年より緩く、後半が明らかにいつもより速い上りを求められる競馬となったことだと考えています。

レースレベル
今回は同日同じコース設定で行われた東京新聞杯(G3)との比較によりレースレベルを考えていきます。
以下に2025年を含む過去5年のデータをまとめた表を置いておきます。


当日のメインレース東京新聞杯の勝ち時計や上りの数字を見る限り、今年の馬場は例年通りの時計水準であったことがわかります。
ただし、注意すべき点としては例年よりも直線後半部分での上りがかかる競馬になりやすい馬場だったということです。
東京新聞杯もレースラップラスト1Fの数字が12.0かかっており、このラップを後方大外から差し切ったウォーターリヒトは11秒台前半の数字で走っていると思いますが、メイショウチタンは逃げて上り3F 35.1かかりながら3着まで粘ることができています。
この馬を差せなかった他の馬がふがいないと思いたくなるのですが、他の芝レースの結果を見ても内で競馬をした馬の前残り決着がほとんどで、同様に上りが東京芝にしてはかかっていました。
よって、この開催の競馬では直線最後の後半ラップに注目することが重要だと考えています。
では本題のゆりかもめ賞の時計・ラップがどうだったかを確認してみましょう!
まずは全体時計ですが、2:27.8という時計は異様に速い2023年を除けば水準レベルの時計だったと言えます。
2023年は東京新聞杯でも1分31秒台が計時されているようにかなり速い時計が出るコンディションでした。その時のゆりかもめ賞勝ち馬スキルヴィングはその後青葉賞を勝利してダービーでも人気を集めた馬なので、勝ち馬自身の能力が高いゆえに速い時計が出たことも関係していると思われます。
今年は例年より前半ペースがスローで流れ、後半ラップが早くなっていることが重要です。
前半がスローであれば後半ラップが早くなりやすいのは間違いないですが、前半5F 63.5に対して、勝ち馬の上り3F 33.5というのはバランスとして非常に優秀です。他の年のラップと比べていただくとわかりやすいと思います。
そして、特に素晴らしいのは後半2F 11.1 – 11.0というラップです。
まだ開催序盤ではありますが、レースラップが加速ラップとなった芝レースは短距離戦含めてゆりかもめ賞のみ。
2006年以降、1, 2月開催の東京芝2400mでは後半2Fの数字としては最速です。
ちなみに似たような後半ラップを記録した同時期の3歳戦をピックアップすると以下の通り。

2着馬まで広げてみると青葉賞で好走したヴァンキッシュラン、タンタアレグリア、その後を考えてもダービー馬になれる素質を持っていたであろうサトノジェネシスなどがいます。
今年の上位馬もその後の活躍に期待できそうです。
ピックアップ馬
1着 ウィクトルウェルス
ここまでの2戦は数字的には正直微妙なものであり、レッドキングリーには完敗という内容。今回調教でもなんとか間に合ったという感じの仕上げで戦前の評価は高くありませんでした。しかし、ノーザンファーム天栄の育成馬で宮田厩舎、ルメール騎手が乗るということで最終的に2番人気に推されています。今回は人気通り素晴らしい走りを見せてくれました。騎手の力が大きいかもしれませんが馬群でリズムよく走れており、直線で反応して末脚を発揮する理想的な競馬。素質馬ファイアンクランツに対して道中スムーズに運べた分の優位性はありましたがそれでも着差0.2をつけているのは評価できます。リアルスティール産駒の一般的なイメージとは異なりますが今後長距離で活躍するのではないかと考えています。母ウィクトーリアもフローラS、オークスで素晴らしい走りを見せていたことも裏付けになるでしょう。次走が青葉賞になるのであれば人気に注目したいところです。
2着 ファイアンクランツ
今回1番人気に支持され、これまでも人気を集めてきた素質馬です。札幌2歳Sでロスがありながら後方から差してきたこと、東スポ杯で位置取りが悪くなる中素晴らしい差し脚を見せていたことからこの世代トップクラスであることは間違いない馬です。今回も勝ち馬には届きませんでしたが内容は互角といってよいもので、力を見せてくれたと思います。血統的には明らかに晩成タイプであり、陣営も度々似たようなコメントを残していることからG1戦線に乗ってくるのは秋以降だと予想していましたが、素質だけでこれだけ走れているのであればG1級の可能性があります。今回は道中行きたがるしぐさを見せて鞍上も折り合いに苦労している様子があり、直線も少し外に膨れるロスが着差につながってしまいました。今後はこの辺りに成長が見られれば重賞は勝てる馬でしょう。体重も増えていて今後に期待ができそうです。
3着 アマキヒ
今回は鞍上が馬場傾向を読んで素晴らしい騎乗をしたことが好走の主要因だと考えており、着順通りの評価はできないかなと思います。次走人気になるのであれば注意が必要です。初戦はスローで位置取りに恵まれてはいましたが相手、時計面は優秀であり、ホープフルSでもルメール騎手が騎乗して人気を集めた素質馬です。ホープフルSは2戦目で全く違う競馬となったため度外視でよく、今回の競馬がこの馬の本質に近いでしょう。勝負根性がありそうなため、スローで気分よく自分ペースで走らせればある程度の脚は使ってくれそうなタイプです。ただし血統から33秒台前半のキレる脚が使えるイメージはないため、重視できそうなレースは限られそうな気がします。
4着 サトノパトリオット
個人的には初戦の上りと相手が非常優秀で注目していた馬です。初戦の全体時計は平凡であるため、今回一般評価は低いかなと人気に注目していましたが結果的に3番人気に支持されていました。2戦目ということもあってか直線を向いてからスムーズに追い出すのに苦労しており、スピードに乗って走れたのは残り4Fを過ぎてからのためその点は評価できるのですが、上位2頭には現時点で及ばないかなと思いました。外のマテンロウムーブにも差されかけているのを見ると長距離が向ているとは思えませんでした。牝系が米国の超良血であり、近親にカジノドライヴなどがいます。レイデオロ×米国血統の相性を見る上でも今後に注目したいです。少し早熟の可能性を疑っています。
5着 マテンロウムーブ
個人的にはここで本命にするほど期待している馬です。初戦はアマキヒ戦の三着ですが内容と時計は非常に優秀であり、上位2頭と同等に評価しています。そして2戦目の競馬が素晴らしく、同時期の中京2000ではトップクラスの後半ラップで勝利。回したコースを考えても重賞級の可能性が高いです。京成杯で伸びきれなかったこと(休み明けで仕上げが甘かったことが主要因だと思っていますが)、陣営コメントから考えると現状は左回りに適性がありそうです。今回は最後方に下げて大外を回す教育的な側面が大きく、最後も本気で追っていないように見えたため度外視で良いでしょう。最後の脚は上位2頭と同等以上に見えたので、今後の成長次第で大きいところが見えてくるのではないかと期待しています。継続して騎手が乗ってくるのであればその考えが正しい可能性は高そうです。