前書き
今週末は2歳G1、朝日杯FSが開催されます!
近年はサリオスやドウデュース、ジャンタルマンタルなどその後王道のクラシック路線でも大活躍した馬がこのレースを勝利しており、今年もそれらの馬と並ぶ馬が出てくるのか大注目のレースです。
黄菊賞を圧勝したミュージアムマイル
サウジRC勝ち馬アルテヴェローチェ
新潟2歳Sを勝利したトータルクラリティ
など2歳の有力馬が集まっており、頭数もフルゲートになりそうなのでどの馬が勝つのか予想するのは本当に楽しみですね!
そんなメンバーの中で、個人的に最も注目しているのは
ニタモノドウシ
です。
ディーマジェスティ産駒の牡馬であり、オーナーはディーマジェスティと同じ嶋田賢氏の所有馬です。
馬名の由来は父親であるディーマジェスティに似ていることから付けられたそうで、このような背景からしても非常にユニークな馬として注目されていますね!
私はこの馬がここまで走ってきたレースを分析していく中で、
今回の出走メンバーの中でも
一番強い(速い)可能性があるのではないか
と考えるようになりました。
本記事では、その理由について、ニタモノドウシが出走したレースを数字的に考察することで深堀していきます。是非最後までご覧ください!
福島芝1200m 新馬戦
ニタモノドウシがデビューしたのは福島芝1200m。
普通であればクラシックを目指すような素質馬がこの条件を使うことはありません。なので馬の素質を考えるときに新馬戦で使われたコースを重視する方はこの時点でこの馬に注目することはないでしょう。
しかし、この新馬戦でニタモノドウシが見せたパフォーマンスは素晴らしいものでした。
スタートで出遅れて馬群から大きく離された位置を追走し、直線を向いたところでは先頭から離れた後方にいました。
この時の前半3Fは35.7秒であり、同条件ではかなり遅めのペース。この時点で後方勢には厳しい展開だったと言えます。
しかし、ニタモノドウシはここから大外を回して前にいた5頭を抜き去り先頭でゴールしています。2着には1馬身以上差をつける快勝でした。
最も評価したいのは上り3F 33.6という数字。この数字は、2006年以降の福島芝1200m 2歳戦における勝ち馬の上り3Fとしては第一位の数字です。(対象レース数279)
また、ニタモノドウシ自身のラスト1Fは推定11.0程度で走っており、私が個人的に調べた個別ラップでは2024年の全福島芝レースの中で1位の数字でした。
実は2歳戦の福島芝レースの勝ち馬で上り3F 33秒台で走った馬すらいません。この時点で
実はこの馬は結構な大物なのでは?
と個人的に考えるようになりました。
ただし、注意すべき点としてこの日は夏開催の福島競馬場の開幕週にあたり、かなり早い時計が出る馬場になっていました。そして、小回りコースとして有名な福島芝コースにしては外差しが決まっていたので、ニタモノドウシは馬場に恵まれた走りだった可能性があります。
また、全体時計1:10.5という数字も他の芝レースの時計から考えるとかなり平凡なものです。
半信半疑で結果を楽しみにしていた次のレース、クローバー賞では実はさらに素晴らしい走りを見せてくれました。その素晴らしさを次の章で紹介します!
札幌芝1500m クローバー賞
ニタモノドウシの2走目はクローバー賞でした。
札幌芝1500mという条件は2歳戦の王道から外れているため注目度は低いですが、実はこのレースを走った馬にはタワーオブロンドンやロゴタイプなど後にG1で活躍した馬もいます。
このレースでニタモノドウシは2着に着差0.3秒、上り3Fでは0.5秒差をつける強い競馬を見せています。
まず最初に注目すべきは勝ち時計の素晴らしさです。
1:28.6というタイムは2歳コースレコード!
当日はやや早めの時計が出る馬場でしたが、超高速馬場と呼べるレベルではありませんでした。実際に、同日に行われたG2札幌記念と比較するとわかりやすいです。
今年の札幌記念の勝ち時計は1:59.6。単純に勝ち時計で比較した場合、2021年にソダシが勝利したレースとほぼ同じタイムです。後半数値は今年の方がやや早いため、ざっくりではありますが2021年より少し早めの馬場だったのかなと推測できます。
そして、クローバー賞の時計を同様に2021年と比較すると、勝ち時計は0.5秒早く、上り3Fは0.7秒も上回っていることがわかります。
さらに、後半5Fのレースラップでも0.6秒早く、明らかに今年の方が時計的なレベルは高いです。
2021年の勝ち馬ラブリイユアアイズの時計も非常に優秀であり、この馬がその後阪神JFで穴をあけたのはフロックではないことがこの数字からわかります。
札幌競馬場の芝は洋芝であり、時計が主要な競馬場よりも遅くなる傾向にあることは有名な話です。芝コースは平坦で坂がないことから、早いタイムが出やすいと思いたくなるのですが、下り坂がないので加速しづらく、後半ラップが極端に早くなることは稀です。
そして、2歳馬にとっては距離に関係なくタフなコース設定となるため、最後の1Fは大きく失速のが通例です。
このことから、私はこのコースのラップを見る際は全体時計以外に最後の1F, 2Fでどれだけ速いスピードを維持できていたか、ということに注目しています。
以下は2006年以降の札幌芝1500m 2歳戦のレースにおいて、
- 全体時計1:30.5以内
- ラスト2F 11.6以内
- ラスト1F 12.0以内
となったレースの勝ち馬をピックアップした表です。
上で書いたことを数値化していると思っていただけるとわかりやすいと思います。
条件に該当した馬は11頭しかおらず、その内3頭が後のG1馬となっています。
- シュネルマイスター
- タワーオブロンドン
- グランプリボス
他にも重賞で活躍した馬がおり、強い馬を見分ける指標としては中々精度が高いのではないかと考えています。
改めてニタモノドウシが記録した数字を他の2歳戦と比較してみると、レース後半のラップが優秀であることがよくわかります。
実際のレースでは鞭を一回しか使われておらず、残り200mで先頭にたってからは手応えが他の馬と全く違ったため、騎手もそこまで強く追っていないように見えました。
その中でこれだけ素晴らしいタイムで走っているため、全力を出したときはさらに素晴らしい走りが期待できるのではないかと想像してしまいます…
最後に
この記事では
ニタモノドウシ
について考察してきました。
朝日杯FSではムーア騎手を鞍上に迎え、追切でもムーア騎手が感触を確かめるなど万全の状態でレースに臨めそうです。
クローバー賞から間隔が空くのが吉と出るのかはわかりませんが、現状の力を出し切れれば今回の素晴らしいメンバーでも勝負になるのではないかと期待しています。
この馬の母方の祖母はイスラコジーン。
皐月賞馬イスラボニータの母であり、ニタモノドウシはイスラボニータの甥っ子にあたります。
父ディーマジェスティも皐月賞馬であり、ニタモノドウシの血統は皐月賞血統といえるかもしれません。
と言われる皐月賞。
気が早いかもしれませんがこの後は是非、父や叔父のように皐月賞でも素晴らしい走りを見せてほしいなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
今回は以上です!
また次の記事でお会いしましょう(^^)
おず